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iPhone 5、購入すべきか否か

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どのタイミングでアップグレードすべきかを決めるのは、楽しくも、時には高くつく問題です。通常、キャリア各社からキャンペーン価格でiPhoneを購入できる契約の期間は、2年です。そこで従来は、モデル1つおき、あるいはそれより短い期間でアップグレードしていました。iPhoneの開発サイクルがこのような状態なので、適切なタイミングで買い換えをしたければ、あと数ヶ月で時代遅れになるようなモデルを購入すべきではありません。

現在iPhoneのオーナーであり、新しいiPhone 5への買い換えを真剣に考えている人のために、CNNのヘザー・ケリー氏が熟慮すべきポイントを挙げています。

●大型画面が必要か/動画をたくさん観るか

既にご存じでしょうが、iPhone 5は縦長のデザインです。それは間違いありません。この縦長サイズをテストしたところ、従来のiPhoneの短い画面に比べてかなりの空間があることがわかりました。

横方向については以前と同じサイズですが、縦方向は9mm長くなっています(画面の表示領域は1cm以上長い)。これはアイコンを1列追加できる長さです。この寸法は、以前の小さい画面で黒帯が表示されていたような、ワイドスクリーンのムービーを観るのに最適です。画面が広くなったおかげで、その他のアプリでもスペースに余裕が生まれています。今ごろサードパーティ各社は、新しい画面比に合わせてアプリのデザインを変更するのに大わらわなのに違いありません(時間と人手を要する仕事です)。それが完了するまで、古いアプリは従来のサイズで表示され、画面上の未使用スペースは、闇で覆われます。

より大型の画面を求める市場は確かに存在しており、これまでもSamsungなど各社から、画面が広く、解像度の高いスマホが発売されてきました。大型画面が良いかどうかは完全に好みの問題ですが、iPhone 5の画面でもまだ小さすぎると感じる人は、Samsung Galaxy S3などの機種に亡命した方がいいかもしれません。ちなみにこの機種は、4.8インチ画面です。

●今のiPhoneが遅いと感じるか

一般的に、歴代のiPhoneはそれ以前の機種より高速であり、使っているうちに低速化して行く傾向があります。アップルは、A6という、より高速なプロセッサーをiPhone 5に搭載しました。同社は、このプロセッサーが2倍も高速だと主張していますが、テストの結果、その違いは誰の目にも明らかだということが分かりました。

そもそも、iPhoneは普通の用途にしか使わないという人なら、やや遅いiPhoneを使い続けても問題ないかもしれません。ここで言う普通の用途とは、通話、文字入力、eメール、ツイッターやフェイスブックの閲覧、それに動画再生を指します。もしあなたが、「iPhoneが遅いなあ」と愚痴ることも、自分がiPhoneを買った時代から進化したスピードに動揺することもなければ、おそらく今後も新機種の変更点は気にせずに、幸せな日々を過ごせるでしょう。

しかし、iPhoneにグラフィックゲームのような大がかりな仕事をさせようとすると、スピードがまさに障害として立ちはだかります。iPhone 5のもう1つの大きな進化は、カメラ機能です(これについてはすぐ後で説明します)。

お手持ちのiPhoneを、無料でスピードアップさせる方法はいくつかあります。使用しないアプリをアンインストールしてハードドライブのスペースを空ける、サファリのキャッシュを空にする、写真、ビデオ、音楽を削除する、などの方法です(何がどれだけ容量を取っているかを知るには、設定→一般→使用状況を確認します)。また、バックグラウンドで動作するアプリは、普段は閉じていることを確認します。

●iPhoneをメインのカメラとして使っているか

カメラ機能の高品位な画質と、写真とビデオを同時に利用できる仕様のおかげで、iPhone 5は電話機よりもカメラとして人気があるのかもしれません。iPhone 5では、iPhone 4Sと同じ8メガピクセルのカメラセンサーを採用していますが、アップルでは、より薄くなった筐体にこの機能収めるため、そして画質を向上させるめに、いくつかのハードウェア上の微調整を行っています。

カメラ機能の最も大きな進化は、スピードの向上です。今やシャッターボタンをタップするのと同じ速度で、速射が可能になっています。タッピングによるフォーカス合わせも瞬時に行われます。これまで、iPhoneのシャッターが遅いためにシャッターチャンスを逃してきた人には、何よりの福音でしょう。

さらにアップルは「カメラ」の新機能としてパノラマ機能を追加しました。現在、MicrosoftのPhotosynthなど、サードパーティからもパノラマ撮影用アプリがいくつも出ていますが、アップルのパノラマ機能は、これらのアプリのお株を奪った形です。写真の結合操作は競合製品よりも高速かつ高品位であり、仕上がりの画像の解像度も高くなっています。

その他、カメラ機能に施された改良点としては、暗所での撮影品質の向上、ノイズの軽減などが挙げられます。

●ナビゲーターとして使うか

はい、と答えたあなたは若干注意が必要です。

iPhoneの発表と言えば、毎回ちょっとしたドラマがあるものです。中には、アンテナゲート事件のように、大げさな事態に発展するものもありました。この事件は、ケースを付けていないiPhoneを使って、非常に限定された特定の場所で通話しようとすると、通話が中断されることがある、というものでした。また、iPhone 4Sのユーザーからは、バッテリーの問題が報告されていました。今回、iPhone 5に関するドラマと言えば、新しい「マップ」アプリがそれです。

iPhone 5は、すべてiOS 6がプリインストールされて出荷されます。つまり、これまでの「マップ」アプリは自動的になくなり、アップル初の試みである自社製「マップ」アプリがそれに取って代わったというわけです。このアプリには、カーナビのように方向を指示してくれる機能や、素敵な3Dグラフィックスも追加されていますが、経路上の各種情報が多く欠落し、正確さに欠けたものになっています。

これまでアップルは、製品デザインとスマートなユーザーインターフェースという点では、常に他を引き離していましたが、残念ながら同社はデータ会社ではありません。現在、同社は「マップ」アプリを本来あるべき姿に戻すための作業を続けていますが、それよりも最良の解決策は、グーグルからiOS向けに、独自のサードパーティ製品として「マップ」アプリがリリースされるのを待つことです(グーグル社は、実際の時期については沈黙を保っていますが、おそらく長い時間はかからないでしょう ※9TO5Macによると、グーグルはすでにiOS向けのグーグルマップをアップルに申請済みとのこと。)。それまでの間、アップルのApp Storeから利用できる地図アプリがいろいろありますし、今でもサファリを通じてグーグルのサービスを利用することも可能です。ただし、速度は遅いし、操作が直感的ではありませんが。

●美しい物が好きか

新しいiPhoneの最も印象的な点は、そのデザインにあります。アップルは、製品の製造過程を「緻密に手作りされた腕時計」と同じレベルにまで高めています。豪華な一品がそうであるように、iPhoneのデザインは一分の隙もなく、表面や継ぎ目に現れる、目に見えるものすべての細部に注意が払われています。もちろん、時を告げることもできます。

誰もがiPhone 5をロレックスのような服飾品だと見なしているわけではありません。もしあなたが、多くの人々と同じように、iPhoneに不透明なケースを被せているならば、周囲の人にiPhoneの細部が見えるはずもありません。この場合でも、よくできた製品ならではの満足感は得られるでしょう。しかし、従来のiPhoneだって、緻密に製造され、完璧に美しいシェイプを誇っているのです。

形状についての最も劇的な変化は、新しいiPhone 5がより薄く、より軽くなったことです。全体としては大きな改良点ではありますが、これまでiPhoneの重さや厚さを常に愚痴っていたような人でもなければ、アップグレードする理由としては、根拠が薄いと言えます。足腰にピッタリしたジーンズをはいている人には、待ちに待ったアップグレードなのでしょうが。

●4Sより前のiPhoneを使っているか

iPhone 3GSまたはそれ以前のiPhoneのユーザーなら、素直にアップグレードしましょう。画面のためにもする価値はあると言えます。iPhone 4から使われているRetinaディスプレイは、iPhone 5ではさらに洗練されています。輝度を上げて全画面を並べて見比べてみると、iPhone 5ではそれぞれの色がより鮮明に写ります。

iPhone 4をお持ちの方は、アップグレードを決めるかどうか悩ましいところでしょう。自分にとって新しい機能が本当に必要かどうか、見極めることです。例えば、音声アシスタント機能Siriを使いこなしたい人には、今回はアップグレードするいいチャンスです。また、モバイルゲームのヘビーユーザー、または真剣なiPhoneカメラマンなら、このスピードはアップグレードする価値があります。しかし、2年間愛用してきて、精密に作られているiPhoneが快調に使えているという人は、おそらくもう1年くらい所有を続けてもいいでしょう。

iPhone 4Sのオーナーは、慌てず騒がず、お手持ちのiPhoneをお楽しみください。今契約しているキャリア会社の2年縛りが終わるまで、1年間じっと待つことです。その頃、iPhone 5オーナーたちは、突然時代遅れになった各種機能に、行き詰まりを感じているでしょうから。

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