iPhone5、ドックコネクタの小型化がもたらすこと
第3世代のiPodは2003年、30ピンドックで登場しました。この基本デザインはそれ以降ずっとiPodsで採用され、最終的にはiPhoneにも付け加わることになりました。しかしアップルは次世代iPhoneで、新しいドックデザインを導入する模様です。これによってデザイン面にいい影響が及びますが、第三者企業であるデバイスメーカーとユーザーは、困惑させられることになるかもしれません。米国のMac News Worldが伝えております。
新iPhoneが市場に登場するとき、ユーザーはデバイスに何か違いがあることに気付くでしょう。アップルのiPodとiPhoneにおいて過去10年近く変わらなかった何かに変化が起きそうです。
TechCrunchは、アップルがiPhoneの30ピンポートを19ピンポートに切り替えるとしています。2003年、第3世代iPodで基本となる30ピンドックが登場して以来、このドックはiPod とiPhoneのすべてのモデルの特徴となってきました。しかし新デザインによって、ドックはさらに小さくなりマイクロUSBケーブルに似た形になるとのこと。
マーケット調査会社IHS iSuppliの上級アナリストであるウェイン・ラム氏は、「現行デザインは、iPodデザインの遺産といった趣きだ。アップルは、iPodとは全く異なる何かとしてiPhoneについて考え始めている」と語っています。
新iPhoneがいつリリースされるか未だ不明ですが、iOS 6がプレビューされたこともあり、iPhone 4Sが昨年10月リリースだったことも考慮すれば、やはり今秋のデビューだろうと見られています。しかしアップル自身はやはり、これについてノーコメント。
進化するデザイン前出のラム氏は、「デザイン変更にともなう柔軟性によって、アップルとその顧客の両方に大きなメリットがある」とし、「コードの機能性を倍加しようとしている。データポートを作る何かをするつもりだ。これによってスピードを上げる助けになる」と述べています。
米調査会社GigaOM Proのアナリストであるコリン・ギブズ氏は、「より小さくより汎用性の高いドックは、iPhoneの機能向上につながる。顧客はiPhoneに対して、さらに高度なコンピューティングと娯楽機能を求めている。メーカーはその要望に応えるべく、デバイスをより小さく、よりパワフルにする企業努力を迫られている」と語りました。
「メーカーと開発者は常に、モバイルフォン内部により多くの技術を可能なかぎりたくさん詰め込みたいと考えている。従って、デバイス内部のスペースはきわめて貴重な『不動産』なのだ。ドック用スペースが小さくなるということは、チップやプロセッサー用のスペースが広がることを意味している」と、ギブズ氏。
ドックの再デザイン化で、iPhoneは欧州の基準にも適うものとなるでしょう。EUは昨年12月、携帯電話販売業者にマイクロUSBを接続可能にするよう求める新規制を導入。当時アップルは、iPhoneのデザインを変えることはしませんでしたが、マイクロUSBアダプターを販売し始めたのでした。
商品を売るためにこのドック変更は、アップルに忠実に従ってきた第三者企業を憤慨させるでことしょう。30ピンポートは、第3世代iPod以来ずっと、アップルのモバイル商品のスタンダードであったわけです。第三者企業となるアクセサリー(付属品)メーカーは、大量のスピーカーセット、自動車用充電器、バッテリーパック、他にもiPodとiPhoneで使用できるようデザインされたデバイスを様々な形で作ってきました。それらすべて、30ピンポートで繋がれていたわけです。
前出のギブズ氏はさらに、「アクセサリー商品が使えなくなるという顧客側の困惑に加えて、様々なガジェットを作ってきた会社も、このドック変更を懸念しているだろう」とし、「やはり一番困るだろう人々は、アップル製品のアクセサリーメーカーだ。新iPhoneがリリースされると、現在の在庫にどんな価値があるのか全く分からなくなる」と説明しました。
また一方でラム氏は、「アップルは秘密主義で製品を隠蔽する傾向があるとはいえ、新iPhoneリリースに際しては、アクセサリーメーカーに手がかりを与える可能性はある」とし、「関係者全員が秘密を誓わせられるだろう。しかしそれは可能性の一つでしかない。ポートの再デザイン化は、デバイス全体のデザインよりは興味が薄い。しかしこれはアクセサリーメーカーに少なからぬ影響を及ぼすので、アップルが事前に情報を与える決断を下す可能性はないわけではない」と語りました。
アップルとしても、アクセサリーメーカーらとともに、忠実なユーザー層を囲い込んでおく必要があるので、この点についての対策はあるはず。ドックサイズ変更に関する噂が本当であれば、恐らくそれは良い方向に向かっています。アップルがかつて欧州で取った仕方同様、今回も、アダプターをリリースして、古いポートでもデバイスが機能するよう準備はするでしょう。
ラム氏は最後に、「この変化に適応するには、何か抗し難いメリットが必要だ。アップルは、ユーザーを疎外するような企業ではない。このデザイン変更に配慮した『何か』があるのは間違いない」と付言しました。
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