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アップル4~6月期決算、増収増益 iPhone販売好調もiPadは苦戦

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アップルがこのほど、第3四半期(4~6月期)の決算報告を発表しました。数ある主力製品の中でも、やはりiPhoneの売れ行きは好調。iPhoneは依然としてアップルの重要な「稼ぎ頭」のようです。米New York Timesが伝えています。

Apple Store Fifth Avenue - NY

サムスンのような大手ライバル企業がスマートフォンの売上げに陰りを見せる中、アップルは第3四半期のiPhoneの販売台数で、前年同期比13%増の3520万台という快挙を成し遂げました。販売不振が伝えられていたiPhone 5cが、実は売り上げに大きく貢献していたと見る向きもあるようです。

第3四半期の純利益は、前年同期比8億5000万ドル(約860億円)増の77億5000万ドル(約7860億円)。売上高は、前年同期比21億ドル(約2100億円)増の374億3000万ドル(3兆7940億円)と、相変わらず莫大な額を稼ぎ出しています。

一般的に、6月末は、スマートフォンの売れ行きが伸び悩む時期だと言われています。消費者の多くは、秋のセール期間や年末を狙って買い替えを検討するからです。

こうした販売状況においては、携帯電話メーカー世界一とも言えるサムスンも例外ではなく、今期予測されている利益は前年同期比で25%減となる見通しです。

サムスンは、売上減となった要因を、販売の伸び悩む時期であることと、日々激化する低価格競争のためとしています。

一方、アップルによるこの時期の中国市場の売上げは前年同期比で28%増でしたが、この数字が今期、アップルの収益増に大きく貢献したと言えるでしょう。またこれは、これまで中国の携帯電話メーカーと価格競争を繰り広げてきたサムスンと大きく異なる点でもあります。

欧米諸国のスマートフォン市場が飽和状態となった今、中国はアップルにとって極めて重要な市場です。米調査機構のクリエイティブ・ストラテジー社で、消費者向け技術の分析を担当するアナリスト、ベン・バジャリン氏によれば、こうした理由から、アップルは現在、アジア地域をターゲットとした、低価格で画面サイズの大きいiPhoneの開発に注力しているとみられています。

アジア地域で画面サイズの大きいスマートフォンが好まれる理由の裏付けとして、リサーチ会社のIDCによる調査結果も挙げられます。それによると、昨年、中国に出荷されたスマートフォン全体のうち約20%が、5インチ以上だったということです。

また匿名希望の人物がリークした情報によれば、今秋発売予定のiPhone 6に、従来よりサイズの大きい4.7インチ版と5.5インチ版が採用されたのも、アップルがアジア地域への戦略を考慮に入れた思惑があったからだといいます。

さてアップルの収益成長の要因としては、Macの販売が好調だったことも挙げられます。Macの販売台数は今期440万台で、前年同期比では60万台増。

iPad販売は低調

残念なことに、今期、売上げが芳しくなかった製品もあります。主力製品の一つであるiPadです。iPadの販売台数は今期、前年同期比9%減の1330万台。

今年1月、世界最大の携帯電話事業者である中国移動通信がiPhoneの取り扱いを始めましたが、それが功を奏したことにより、iPadの販売不振にも関わらず、アップルは収益の成長を遂げることができたようです。

一方、売上総利益率は前年同期比2.5%増の39.4%。ちなみにiPhone 1台あたりの売上利益はiPad 1台あたりのそれより高いと言われています。よって消費者の需要がiPadからiPhoneへ移れば、アップルの利益率も高くなるという訳です。

アップルの最高経営責任者のティム・クック氏はこのほど、決算報告の場で、アナリストらに対して「われわれとしてはiPadの売上げに満足しているが、君たちの期待は裏切ってしまったようだ」と述べました。

一方、同社最高財務責任者のルカ・マエストリ氏は、インタビューで、iPadの売上げ状況は国や地域によって異なり、米国では顕著な伸びを示さなかったものの、例えば中国やインドでは、売上げが好調だったと述べています。

タブレットの販売に関しては、欧米諸国全体の売上げが前期比で5%減だったというIDCの調査結果もあり、iPadの販売不振にも少なからず影響しているようです。サムスンでも、タブレットの売上げが前期と比較して不振になっており、その原因として、タブレットはスマートフォンと比べて買い替えの頻度が低いことを挙げています。

タブレット市場の現況については、米調査会社ジャックドー・リサーチで通信業界の分析を専門とするアナリスト、ジャン・ドーソン氏も同様の見方をしています。

マエストリ氏はまた、アップルがこのほど発表したIBMとの提携によって、特にビジネス業界におけるiPadの需要が伸びるのではと考えています。と言うのも、両社は今後、100社の企業に対して、iPhoneとiPadを活用したビジネス・プログラムを計画しているからです。

さらにiPadの発売からまだ4年しか経っていないことから、現時点で消費者による買い替えのサイクルに結論を下すのは時期尚早とも話しています。

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