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著名な音楽評論家によるApple Musicが成功しないこれだけの理由

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Bob Lefsetz氏と言えば、音楽業界で最も有名、かつ最も信頼の厚い評論家として知られています。これまでも長年、主要レーベルと提携したり、彼らの相談を受けたりしてきました。また音楽業界をあらゆる切り口から取り上げるニュースレターも定期的に執筆しています。

一方、先月30日(現地時間)にサービスを開始したApple Musicですが、期待通り、Lefsetzが、同サービスについて数多くの私見を公表しています。多くの人が、この新たな音楽ストリーミング・サービスを楽観的にみていますが、Lefsetzは「失敗に終わるのではないか」との見解を示しています。

Lefsetz氏は、Apple Musicが始動する前からすでに、同サービスは遅かれ早かれ失敗に終わるとの見方を示していましたが、サービスが始まった現時点でも、その考えは変わっていないようです。

同氏は3日(現地時間)、自身のウェブサイトにおいて、Apple Musicはすでに深刻な問題を抱えていると述べ、その理由を挙げています。特に最初に挙げられた理由は、音楽ストリーミング・サービスの本質そのものと言えるでしょう。


金銭面

Apple Musicが成功しない理由としてLefsetz氏はまず、「金銭面での理由」だと述べています。「金銭面については、常に視野に入れておかなくてはなりません。Apple Musicは、フリートライアルを利用した人のほとんどが90日後に正式なメンバーとなった場合のみ、成功するでしょう。しかしトライアルを利用した人たちが皆、正式な登録をするでしょうか。

というのも、たいていの人は『無料』や『安い』という言葉が好きですし、また『無料』に勝てる唯一の方法とは、他社にはないサービスを提供することだからです。他社にはないサービスであれば、人は喜んでお金を出します。例えばYouTubeなら音楽をただで聞くことができますし、Spotifyには無料プランがあります。こうしたサービスがある限り、Apple Musicは不利なのではないでしょうか」


Beats 1

同氏はまた、Beats 1について、「話題にはなっているが、オンデマンド型のストリーミング・サービスの一部とは言えない」としています。「Beats 1はアップルにとって致命的です。同局での放送は、音楽業界にとっては有利に働くでしょう。業界の記録を塗り替えるかもしれません。しかしBeats 1自体は利益を生み出しませんし、アップルの企業収益にもつながりません。

アップルがBeats 1に求めているものは利益だけではないと思う人がいるとすれば、その人は、企業の業績発表会に出席したことがない人なのでしょう。米投資家のカール・アイカーン氏やダニエル・ローブ氏による『口撃』に頭を抱えたことがある人なら、そのような考えにはならないはずです」


プロモーション不足

同氏はさらに、Apple Musicについて、プロモーションや説明が不足していると指摘しています。「Apple Musicとは何なのか、なぜApple Musicが必要なのか」ということについて、広告キャンペーンのようなものもなく、分かりやすいオンライン・ガイドのようなものもないからです。

同氏のウェブサイトでは、ユーザーは利用料を支払っているにもかかわらず、自身で使い方を学んでいかなければならない状況を問題視しています。そして「Apple Musicを使いこなせる人がいるとすれば、それはアップルの従業員だ」とまで述べています。


他サービスからの乗り換えが難しい

次に同氏は、「Apple Musicがこの先Spotifyを負かすかどうかがゴシップの種になっている」ことを挙げ、Apple Musicが間違ったターゲットに注目されているとの見方を示しています。「野球で言うと、ロッキーズがブルワーズに勝てるかどうか訊ねているようなものです。つまり熱烈な野球ファンだけが気にかけることだということ。現段階ではまだ『野球』という域さえ脱していませんし、すでに注目していない人たちにとっては、どうでもよいことでしょう」

最後に同氏は、Spotifyのような他の競合サービスからApple Musicへの乗り換えが難しいことを指摘しています。というのも、これまで別のサービスで楽しんでいた楽曲やプレイリストを、Apple Musicへインポートする手段がないからです。

同氏は「世界中で聞くことのできるラジオ・ステーションができたのは、素晴らしいことです。しかし、あるインターネット評論家も書いていましたが、これは本当にインターネット・ラジオなのでしょうか。同じようなものが、もう何年も前からあったような気がします。唯一違いを挙げるとすれば、Zane Lowe氏という人物の存在です。ほとんどの人がつい最近まで、彼の名前を聞いたことがなかったでしょう」と綴り、

「今や、何でも自分好みにカスタマイズできる時代です。オンデマンドのストリーミング・サービスを配信するApple Musicでもそれは可能でしょう。しかし実際には、使い方がよく分からず、アップルによる説明もありません。こんなビジネスのやり方があるのでしょうか」と締め括っています。

via - BGR

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