本文に広告を含む場合があります。

悩ましいiOS 7:これほどバグの多いiOSは今までなかった...

著者情報

英国のKnow Your Mobileに、マイケル・グロタウス記者は、iOS 7のバグの多さについて寄稿しております。

今年6月に初めてiOS 7を見たとき、なんと悪趣味なiOSなんだろうと思いました。9月になって、自分のiPhoneにインストールしたときも、その思いに変わりありませんでした。しかし使い始めてみると、iOS 7は、そのデザインといい、動き方といい、納得できるものに感じられるようになりました(いくつかのアイコンは未だにどうしようもなく不細工ですが)。

iOS 7は、アップルにとって強く待望されていたソフトウェアなわけですが、そのサポートコミュニティーには一つ忌まわしい秘密がささやかれています。もちろんアップルがそれを公にすることはありません。それは何なのか。

iOS 7は、アップル史上これまででリリースされた中で、もっともバグの多いiOSなのです。

iOS 7は急がれていた
思い返せば2012年、iOS 6のリリースは例のマップアプリのせいで台無しでした。その素晴らしい数々の特徴も、マップアプリ騒動のせいでかき消されてしまった感がありました。その出来の悪さがヘッドラインを飾ったのも記憶に新しいことです。同じ頃、アンドロイド陣営が勢力を拡大していたこともあり、アップルの革新的OSもやや陳腐化して見えたのも否めませんでした。

iOS 6をめぐる不評、アンドロイド勢の躍進、iOSそのものの見えの古臭さ、こういったことが重なり、アップル社の人々が何とかしないといけないと焦り始めたのも無理ありません。アップルは渾身の力をふりしぼって、iOS 7の開発を進めました。しかし新OSを10か月ほどで設計・完成にまで持って行くことは、アップルでさえも、その総力を投じたとはいえ、これまで試みたことのない一大事でした。

問題はバグだけではなかった
iOS 7が出て、主なバグいくつかが現れるのに、24時間もかかりませんでした。バグはiMessage、サウンド、バッテリーに出現しました。バグ、バグ、バグとバグだらけ。

しかしiOS 7は一切バグ無しであるべきだったと強く主張するのも公正さを欠きます。どんなOSであれ、最初は必ず、バグの一つや二つはあるものです。それがテクノロジーというものです。

あるOS開発に千人のエンジニアが取り組み、さらに数万の開発者がこれをテストしても、最初のリリース時にバグをゼロにすることはほぼ不可能です。OSのバージョンがx.0のようにリリースされるたびに、バグがぽろぽろと出てくるのはこのためです。

バグの問題は仕方ない面もありますが、本当の「問題」とは、開発段階に十分な時間をかけることができず、リリースが急がれたことにあります。

アップルは元来、何としてでも拙速を避けようとするタイプの企業でした。しかし最近は、これまで以上に市場の力が強くなっており、製品サイクルが市場動向に左右されるきらいがあります(ウォールストリート筋の思惑にアップルが従うの構図です)。このため、開発が慌ただしいものとなっています。

そういう理由から、iOS 7には3回のアップデート(5s/5c向けiOS 7.0.1を含めると4回)を経てもなお、いくつかの問題がしつこく付きまとっています。Know Your Mobileの読者が報告した問題のトップ3は以下です。

1.反応しないタッチスクリーン
コントローラー(ボタンまたはテキストメニュー)をタップしても反応なしということが、非常によく発生します。

特にコントロールセンターのミュージックコントロールで顕著です。これはiOS 7の目玉となる新特徴の一つなのですが。

iOSは常に、その反応(レスポンス)の良さに定評がありました。しかしiOS 7になって以来、その定評が損なわれたと言っても過言ではありません。コントロールセンターからメール内のボタンにいたるまで、何度タップしても最初は反応がないということが頻繁に起こります。

iOS 7の新しい通知センターにも、タッチ反応の問題があるようです。スクリーン上部から通知センターをスワイプダウンします。スワイプダウンした場合は、それがデフォルトで「今日」スクリーンになっていることを確かめます。これを左にスワイプすれば、「すべて」スクリーンに移ります。

しかしこのスワイプ、「すべて」スクリーンに移らない場合がよくあるのです。代わりに通知センター背後のホーム画面が次のページに移ります。

2. ロック画面に締め出される
ロック画面がいい仕事をし過ぎるようです。ロック画面が一時的に解除されず、iPhoneに入れないことがよくあります。

例えば、電話を受けても、応答することができません。そんなことが何度もあるのです。最初はiPhoneの故障かと思われました。しかし同じ問題を報告するユーザーが何人もいるのです。

これが発生した場合、出来ることといえば、iPhoneの電源を落としてもう一度起動し直し、コールバックするだけです。600ポンド(約10万円)もする電話なのに、受電できないなんてあり得ない話です。

3. iOS 7がシャットダウンする
これが一番悩ましい問題です。多くのユーザーが経験しています。iPadでもシャットダウンしたという人もいるようです。

iPhoneで普通に、メールチェックしたり、ネットをしたりしている時に、シャットダウンが発生します。突然、アップルのロゴが現れて、iPhoneの電力が落ちるのです。そして勝手に再起動します。突然iPhoneがむやみに再起動するなんて、あってはならないこと。β版だとしてもあり得ない話です。

クオリティこそ大切、ウォールストリートの意向など無視すべき
もし今出回っているスマートフォンOSで最良のものは何かと訊かれれば、これまで述べてきたことと矛盾するようですが、私はそれをiOS 7だと答えるつもりです。デザイン、ユーザーインターフェースという観点からしても、iOS 7はKit Kat(Android 4.4)よりも良く出来ており、Windows Phone、BlackBerryよりも優れています。

iOS 7に問題が多く、それでも他社のモバイルOSより優れているということは、iOS 6がいかに完成度の高いOSだったかの証しです。iOS 6を基に、iOS 7が作られているわけです。iOS 7はそれ自体、静的なデザイン、動きのあるインターフェース、新技術を美しくミックスしたOSです。

こう考えると、アップルが、iOS 7リリースを早まったことは惜しまれてなりません。もう少しじっくり腰を据えて、満を持してのリリースとなっていれば、多くの問題は発生しなかったかもしれません。

しかしアップルはウォールストリート筋の期待に沿うべく、札束が飛び交うホリデーシーズンに間に合わせるべく、iOS 7のリリースを早めたと見られます。アップルは、クオリティの高さで広く知られている企業です。iOS 8では、同じ過ちを繰り返してほしくありません。そう願います。

関連記事

最新情報



上へ戻る